「看護師はいつも笑顔で」
私が看護師として病院に勤務して一番初めに教わったことだった。
辛くて苦しい治療に耐えている患者さんを前に不満を口にし、顔に出すのは鬼の所業だと言われた。笑顔は万病の薬なのだと。
医者が苦しい表情で治療法や経過を伝える事もある。そんな時看護師も一緒になって悲しんでしまったら患者さんは余計に悲しくなる。
だから、看護師は笑顔でいなさいと何度も言われた。
傷ついている患者さんの中には私たちに八つ当たりをし、嫌なことを言ってくる人もいる。
でも、どんな時でも笑顔でかわす方法を覚えなさい、と何度も言われた。
事実私は泣きたくて苦しくて患者さんにあたってしまいそうになったこともある。その度に先輩に怒られた。
「本当につらいのは、あんたじゃない」
その言葉を何度言われただろう。そんなことわかってる。知っている。でも、じゃあ、どうしろというの、と何度も何度も思った。
でもその度に、私や他の先輩の前で泣くのはいい、でも、絶対に患者さんの前では笑顔以外の顔を見せちゃダメ。と。
何度言われても本当の意味でその言葉を理解することが出来なかった。
でも、それを一人の患者さんが教えてくれた。
「看護師さんありがとう」
「え?」
「看護師さんがいつも笑っていてくれたから、私頑張れたの。看護師さんは本当に白衣の天使なんだね」
驚いた。
看護師が白衣の天使と言われている意味を私は今まで考えたことがなかった。
今までは、ただ、先輩に言われたとおり、笑って見せていただけなのに、そんなウソの笑顔にも癒されたと言ってくれるのなら、
もし本当に彼女たちの事を見て笑っていたら、生きる事を諦めてしまった人たちの心も取り戻せるのだろうか?
わたしは、もっと人を思いやる気持ちを持たなくてはいけない。真剣に向き合わなくてはと心に決めたできこどでした。
患者さんとの感謝の出来事にもっと触れてみませんか?http://memoriesofpatient.org/疲れた気持ちが軽くなりますよ。